
この記事は、中小企業でWeb担当を兼任している初心者の方に向けて書かれています。「Webの効果があるのか、ないのか」を判断するために、どんな数字を見ればよいのか、どんな指標が基本なのか、そしてその測り方について、わかりやすく解説します。ITリテラシーが高くなくても、この記事を読めば自社のWebサイトやSNS運用の成果を自分でチェックできるようになります。数値の目安や、実際に使えるツール・改善の流れまで、実務に役立つ内容をまとめています。
Webの効果測定とは?中小企業担当者が押さえるべき『基本』と『目的』を解説
Webの効果測定とは、自社のホームページやSNS、Web広告などが「どれだけ成果につながっているか」を数字で把握することです。中小企業の場合、Web担当者が専門でないことも多く、何を見ればよいのか迷いがちです。しかし、効果測定の基本は「目的を明確にし、その達成度を測る」ことにあります。
例えば「問い合わせを増やしたい」「商品を売りたい」など、目的によって見るべき指標が変わります。まずは自社のWeb活用の目的を整理し、その目的に合った数字を追いかけることが大切です。これにより、感覚や勘に頼らず、客観的なデータで成果を判断できるようになります。
Webサイトの効果測定が必要な理由は、投資した時間や費用が「本当に成果につながっているか」を明確にするためです。例えば、ホームページを作っただけでは、どれだけの人が見ているのか、問い合わせが増えたのか分かりません。効果測定を行うことで、現状の課題や改善点が見つかり、次のアクションにつなげやすくなります。また、社内での報告や上司への説明にも、数字を使うことで説得力が増します。「やって終わり」ではなく、「やった結果どうだったか」を把握し、継続的な改善を目指すためにも、効果測定は欠かせません。
- 投資対効果(ROI)を明確にできる
- 課題発見・改善策の立案がしやすい
- 社内報告や意思決定の根拠になる
Webマーケティングでは、KPI(重要業績評価指標)やKGI(最終目標指標)という言葉がよく使われます。KGIは「最終的に達成したいゴール」、KPIは「そのゴールに向けて途中でチェックする数字」です。例えば「月間10件の問い合わせ獲得」がKGIなら、「月間1,000人のサイト訪問者数」や「問い合わせページへの遷移数」がKPIになります。このように、KGIとKPIを設定することで、目標達成までの道筋が明確になり、どこでつまずいているかも把握しやすくなります。
初心者の方は、まず「最終的に何を達成したいか」を考え、そのために必要な中間指標(KPI)を決めてみましょう。
用語 | 意味 |
---|---|
KGI | 最終的なゴール(例:売上、問い合わせ件数) |
KPI | ゴール達成のための中間指標(例:訪問数、クリック数) |
Web効果測定の基本的な流れは、1.目的設定→2.指標選定→3.データ収集→4.分析→5.改善アクション、という5つのステップです。まずは「何を達成したいか」を明確にし、その目的に合った指標を選びます。次に、Google Analyticsなどのツールでデータを集め、現状を分析します。分析結果から課題や改善点を見つけ、実際の施策に落とし込むことで、Webの効果を高めていきます。このサイクルを繰り返すことで、少しずつ成果が見えるようになります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、基本の流れを押さえておけば、誰でも実践できます。
- 目的を明確にする
- 指標(KPI・KGI)を決める
- データを集める
- 分析して課題を発見
- 改善策を実施

Webの効果を判断する『基本指標』|最初に見るべき数字とその意味
Webの効果を判断するためには、まず「基本指標」を押さえることが大切です。これらの指標は、WebサイトやSNSの運用成果を客観的に評価するための“ものさし”となります。初心者の方は、PV(ページビュー)、UU(ユニークユーザー)、インプレッション、リーチなど、よく使われる指標の意味と違いを理解しましょう。また、クリック数やコンバージョン(CV)回数、直帰率・離脱率・滞在時間なども重要です。これらの数字を定期的にチェックすることで、Web施策の効果や課題が見えてきます。次の見出しから、各指標の意味や目安、使い方を詳しく解説します。
Webの効果測定で最初に覚えておきたいのが、PV(ページビュー)、UU(ユニークユーザー)、インプレッション、リーチの4つの指標です。PVは「ページが何回見られたか」、UUは「何人のユーザーが訪れたか」を示します。インプレッションは「広告や投稿が表示された回数」、リーチは「実際に見た人数」を表します。これらの違いを理解することで、WebサイトやSNSの“どれだけ見られているか”を正確に把握できます。特に中小企業では、まずPVとUUを定期的にチェックし、増減の傾向をつかむことが大切です。インプレッションやリーチはSNSや広告運用時に活用しましょう。
指標名 | 意味 | 主な用途 |
---|---|---|
PV | ページが見られた回数 | Webサイト全体の人気度 |
UU | 訪問したユーザー数 | 実際の訪問者数の把握 |
インプレッション | 広告や投稿の表示回数 | SNS・広告の露出度 |
リーチ | 実際に見た人数 | SNS・広告の到達人数 |
Webサイトや広告の効果を測るうえで、クリック数とCV(コンバージョン)回数は非常に重要な指標です。クリック数は「リンクやボタンが何回押されたか」、CVは「最終的な成果(例:問い合わせ、資料請求、購入など)が何件あったか」を示します。クリック数が多いほど、興味を持ってもらえている証拠ですが、CVが少なければ“誘導はできているが成果につながっていない”という課題が見えてきます。この2つの数字をセットで見ることで、Webサイトや広告の「集客力」と「獲得力」の両方を評価できます。目安として、クリック率(CTR)が1~3%、CV率(CVR)が1~5%程度あれば、まずは合格ラインと考えましょう。
- クリック数:リンクやボタンが押された回数
- CV(コンバージョン)回数:成果につながった件数
- クリック率(CTR):1~3%が目安
- CV率(CVR):1~5%が目安
Webサイトの課題を見つけるためには、直帰率・離脱率・滞在時間も必ずチェックしましょう。直帰率は「最初のページだけ見て帰った人の割合」、離脱率は「特定のページでサイトを離れた割合」、滞在時間は「1人あたりの平均閲覧時間」です。直帰率が高い場合は、ページの内容や導線に問題がある可能性があります。離脱率が高いページは、改善の優先度が高いポイントです。滞在時間が短い場合は、コンテンツの魅力や分かりやすさを見直しましょう。一般的に直帰率は40~60%が平均、滞在時間は1~2分以上を目指すと良いでしょう。
指標 | 意味 | 目安 |
---|---|---|
直帰率 | 最初のページだけで離脱した割合 | 40~60% |
離脱率 | 特定ページでの離脱割合 | ページごとに要確認 |
滞在時間 | 1人あたりの平均閲覧時間 | 1~2分以上 |
Web広告の効果を測る際は、CPA(顧客獲得単価)、CPC(クリック単価)、CTR(クリック率)、ROAS(広告費用対効果)、CPM(1,000回表示あたりの費用)などの指標が重要です。CPAは「1件の成果を得るのにかかった費用」、CPCは「1クリックあたりの費用」、CTRは「広告がクリックされた割合」、ROASは「広告費に対する売上の割合」、CPMは「広告1,000回表示あたりのコスト」を示します。これらの指標を使い分けることで、広告の費用対効果や改善ポイントが明確になります。特にCPAやROASは、最終的な利益に直結するため、必ずチェックしましょう。
指標 | 意味 | 目安 |
---|---|---|
CPA | 1件の成果獲得にかかった費用 | 目標単価以下を目指す |
CPC | 1クリックあたりの費用 | 業界平均を参考 |
CTR | 広告のクリック率 | 1~3% |
ROAS | 広告費用対効果 | 200%以上が目安 |
CPM | 1,000回表示あたりの費用 | 業界・媒体による |

『Web効果』を正しく測るための方法とツール活用術
Webの効果を正しく測るには、専用のツールを活用することが不可欠です。代表的なのはGoogle Analytics(GA)で、無料で導入でき、アクセス数やユーザー行動、コンバージョンなど多彩なデータを取得できます。また、ヒートマップやレポート作成ツール、データ連携サービスなどを組み合わせることで、より深い分析や効率的な運用が可能になります。ここでは、初心者でも使いやすいツールの導入方法や、効果測定をサポートする機能について解説します。自社の目的や課題に合わせて、最適なツールを選びましょう。
Google Analytics(GA)は、Webサイトのアクセス解析に最も広く使われている無料ツールです。導入は簡単で、Googleアカウントを作成し、GAの管理画面から自社サイトを登録、発行されたトラッキングコードをWebサイトに貼り付けるだけで利用できます。GAの画面では、リアルタイムの訪問者数、ページごとのPVやUU、流入経路、コンバージョン数などが一目で確認できます。初心者の方は、まず「ホーム」や「集客」「行動」「コンバージョン」などの基本メニューを使い、主要な指標を定期的にチェックしましょう。慣れてきたら、カスタムレポートや目標設定機能も活用すると、より詳細な分析が可能です。サイト見エールでは、アナリティクス設定も行なっています!
- Googleアカウントを作成
- GAでプロパティ(サイト)を登録
- トラッキングコードをサイトに設置
- 基本画面でPV・UU・流入経路などを確認
Web効果測定をさらに深めるには、ヒートマップや自動レポート作成、他ツールとのデータ連携もおすすめです。ヒートマップは、ユーザーがどこをよく見ているか、どこで離脱しているかを色で可視化でき、ページ改善のヒントになります。また、Google Looker Studioなどを使えば、GAのデータを自動でグラフ化・レポート化でき、社内共有や定期報告が簡単になります。さらに、広告管理ツールやCRMと連携することで、Web施策全体の効果を一元管理できるようになります。これらの補助機能を活用することで、初心者でも効率的にデータ分析・改善が進められます。
サイト見エールでは、LookerStudioの設定も行なっています!
- ヒートマップ:ページ内の注目エリアや離脱ポイントを可視化
- 自動レポート:定期的な数値報告が簡単
- データ連携:広告・CRMと連携し全体最適化
BtoBやECサイトでは、KPI設計が成果に直結します。BtoBの場合は「資料請求」「問い合わせ」「セミナー申込」など、ECサイトでは「購入件数」「カート投入率」「リピート率」などが主なKPIです。注意点は、KPIが多すぎると管理が煩雑になり、逆に少なすぎると課題発見が遅れます。成功例としては、「問い合わせ数→商談化率→成約率」といった流れで段階的にKPIを設定し、各段階でボトルネックを特定・改善する方法があります。また、ECサイトでは「新規顧客獲得」と「リピート購入」のKPIを分けて管理することで、効率的な売上拡大が可能です。自社のビジネスモデルに合わせて、最適なKPIを設計しましょう。
業種 | 主なKPI例 |
---|---|
BtoB | 資料請求数、問い合わせ数、商談化率 |
ECサイト | 購入件数、カート投入率、リピート率 |

成果につなげるための改善アクション|データ分析から施策実施までの流れ
Web効果測定で得たデータは、分析して終わりではありません。本当に大切なのは、データから課題を発見し、具体的な改善アクションにつなげることです。まずはレポートを作成し現状を把握、次に課題を特定し、改善策を立案・実行します。この一連の流れをPDCAサイクルとして繰り返すことで、Web施策の成果を着実に高めていくことができます。また、A/Bテストや費用対効果の分析も取り入れることで、より効果的な施策選定が可能です。ここからは、データ分析から改善アクションまでの具体的な進め方を解説します。
Web指標データを活用するには、定期的なレポート作成が欠かせません。レポートは、PVやUU、CV数、直帰率などの基本指標を時系列でまとめ、前月や前年との比較を行うのが基本です。グラフや表を使って視覚的に変化を示すことで、社内の誰でも状況を把握しやすくなります。また、目標値(KPI)と実績を並べて記載することで、達成度や課題が一目で分かります。レポートは月次や四半期ごとに作成し、改善アクションの根拠として活用しましょう。初心者の方は、GoogleスプレッドシートやExcelを使った簡単な集計から始めるのがおすすめです。
- 時系列で数値をまとめる
- 目標値と実績を比較する
- グラフや表で視覚化する
- 定期的に振り返る
Web施策の改善には、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act)が有効です。まず、データ分析から課題を発見し、改善策(Plan)を立てます。次に、実際に施策を実行(Do)し、効果を測定(Check)、その結果をもとにさらに改善(Act)を行います。このサイクルを繰り返すことで、少しずつ成果が積み上がっていきます。例えば、直帰率が高いページがあれば、内容や導線を見直し、改善後の数値を比較して効果を検証します。小さな改善を積み重ねることが、最終的な成果拡大につながります。
- 課題をデータから発見
- 改善策を立案・実行
- 効果を測定・比較
- さらに改善を繰り返す
A/Bテストは、2つ以上のパターンを比較して、どちらがより効果的かを検証する方法です。例えば、バナー画像やボタンの色、キャッチコピーなどを変えて、クリック率やCV率の違いを測定します。テスト結果は必ず数値で比較し、効果が高かったパターンを本番に採用しましょう。このような検証を繰り返すことで、Web施策の精度がどんどん高まります。広告運用でも、クリエイティブやターゲティングのA/Bテストは非常に有効です。
- 2パターン以上を用意して比較
- クリック率やCV率で効果を判定
- 効果が高いものを本採用
Web施策の最終的な目的は、費用対効果(ROI・ROAS)を高めることです。ROIは「投資した費用に対してどれだけ利益が出たか」、ROASは「広告費に対する売上の割合」を示します。これらの指標を重視することで、無駄なコストを抑え、効率的に成果を上げることができます。施策ごとにROIやROASを算出し、目標値を下回る場合は原因を分析して改善策を検討しましょう。特に中小企業では、限られた予算で最大の効果を出すために、費用対効果の管理が重要です。定期的に数値を見直し、最適な施策にリソースを集中させましょう。
指標 | 計算式 | 目安 |
---|---|---|
ROI | (利益-投資額)÷投資額×100 | プラスであればOK |
ROAS | 売上÷広告費×100 | 200%以上が目安 |

よくある質問(FAQ)
Q. まず何を見れば「効果がある/ない」を判断できますか?
認知:UU(訪問ユーザー数)、検索流入、SNSリーチ
集客導線:CTR(クリック率)、ページ遷移率(一覧→詳細→問い合わせ)
獲得:CV数・CVR、問い合わせ質(商談化率)
週1で前週比、月1で前年同月比を確認し、悪化が大きい箇所に絞って改善します。
Q. 数値の“目安”がないと良し悪しが分かりません。基準は?
直帰率:40–60%(LPは30–45%を目標)
平均滞在:1–2分以上
CTR(サイト内ボタン/主要リンク):1–3%
CVR(問い合わせ/資料請求):1–5%
まずは現状→翌月に「相対改善(+10〜20%)」を目標に。
Q. 無料で始められる“効果測定ツール”は何ですか?
GA4:訪問・導線・CVの計測
サーチコンソール:検索クエリと掲載順位
Looker Studio:月次レポートの自動化
無料ヒートマップ(例):主要ページの読了・クリック可視化
この4点で“見る→気づく→直す”の循環が作れます。
Q. KPIはどのように決めれば良いですか?(兼任で時間がない)
例:KGI=月間問い合わせ20件
KPI1=対象流入UU5,000 → KPI2=問い合わせページ遷移率5% → KPI3=フォームCVR4%
各KPIに担当(自分/制作/営業)と締切(週・月)を付け、責任の所在を明確に。
Q. 数字を見ても改善が進みません。最初の一手は?
直帰高:FV(1画面目)に①誰向け②何の価値③次の行動 を明記
遷移低:主要リンクの配置・サイズ・文言をA/Bで比較
CV低:フォーム項目削減(5→3へ)、入力補助、CTA再文言化
2週間でテスト→月次で採用/却下の判定までをワンセットにします。



